2012年12月1日土曜日

You got my ear. いつでも連絡してくれ。

昨日の朝、9月までカマリヨ支社長を務めていたトムがサンディエゴのオフィスにやってきました。10月に栄転したジョエルの後任として環境部門南カリフォルニア地区のトップに躍り出た彼は、傘下の社員たちと親しく交流するため、支社をひとつずつ回っているのです。

三つ隣のジムのオフィスで暫く話し込んだ後、私の部屋に現れたトム。私は過去何年もカマリヨ支社の人たちをサポートしてきたため、彼のことはよく知っています。
「シンスケ、例のプロジェクトの件、あらためてサポートを頼めないかな。」

例のプロジェクトというのは、南カリフォルニア地区の収入の4割以上を稼ぎ出す巨大なもので、過去にトムから何度もチームへの参加を打診されています。助けたいのは山々なのですが、私のスケジュールは既にパンパン。時折レビューに参加するくらいの薄い関わり方を維持していたのですが、そうこうするうちに、若手のホープであるシェリーがプロジェクト・コントロールの責任者に任命され、私へのラブコールはすっかりおさまっていたのです。
「シェリーは優秀なんだが、何でも一人で抱え込んでしまうのが玉にキズなんだ。時々様子を見てアドバイスしてやってくれないか。このまま放っておくと、一人で燃え尽きてしまうかもしれないからな。」

「確かにそういう傾向が見受けられますね。来週あたり、彼女に会って話してみますよ。」
「そうか、やってくれるか、これでひと安心だ。」

トムは安堵の笑顔を浮かべましたが、すぐに表情を硬くしてこう言いました。
「シンスケ、君の存在はうちの組織にとって非常に重要なんだ。頼りにしてるからな。何かあったら迷わず直接連絡してくれ。」

そしてこう締めくくります。
“You got my ear.”

「君は僕の耳を持っている」?何を言われたのか呑み込めませんでしたが、信頼を寄せてくれているらしいことは表情から伝わって来ました。
次の目的地であるソラナビーチ支社へと急ぐトムを見送った後、マリアのオフィスを訪ねました。そしてたった今起こったことを話します。

「すごいじゃな~い。べた褒めね!」
と冷やかすマリア。

「う~ん、でも、よく分からないんだ。You got my earって何のこと?僕の耳は君のものだって言ってるんでしょ。」
「そうよ。いついかなる時でもシンスケの話は最大限の注意を払って聞く用意があるって言いたいんじゃない?」

なるほど、そうか。和訳すると、こうなると思います。
“You got my ear.”
「いつでも連絡してくれ。」

「面白い表現だね。でもこのフレーズ、文字通りに解釈すると結構キモチワルイよね。」
マリアはちょっと笑ってから、

「そう言えば、こんなのもあるわよね。」
と言い、

“I got your nose!”
と親指を人差し指と中指の間から覗かせるジェスチャーをしました。あとで息子にも確認したのですが、これは年寄りがちびっ子をからかう時に使うトリック。子供の鼻に触ってからこの手を見せ、

「鼻をもぎとっちゃったぞ!」
と叫ぶのですね。
 
自分のオフィスに戻ってから気がついたのですが、この手の形、日本では他の意味で使われるんじゃなかったっけ?

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